「敷金を没収する」ヤバい中国人大家たちが頭の 中で考えていること

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トラブルの報告が続々やってきた

2018年、深セン福田区の風景/筆者撮影

拙稿(中国人が大家のマンションで「敷金が返ってこない」トラブルが続出中)をアップしてから、中国つながりの友人から、早速メッセージを頂戴した。

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「在住5年で、2回もトラブルに巻き込まれた」(上海)

「トラブル発生後(中国人の)親戚が合い鍵を作り、テレビなどの家具を持ち出そうとした。大家が来て揉めたが、そこまでやってようやく合意に至った。日本ではれっきとした犯罪だが…」(上海)

「そもそも物件自体のトラブルが多い。3カ所すべて問題が発生した。今の家も3カ月ほど前からシャワーの湯が茶色い。先週、給水系統の掃除をしたらあっけなく直った。(中国人大家は)なかなか対処してくれない」(北京、上海)

メッセージを寄せてくれた人たちは皆、普通語による会話ができ、なおかつ、10年近い在中国歴をもつベテランばかり。にもかかわらず、何かしら「嫌な思い」に遭っていることが共通点だ。

よくこうした中国(人)問題が報じられると、「中国は広い」とか「地域差がある」とかいう理由で、本来の話題からそれるケースが多い。そこで広州から届いた「差別はダメだけど、(大家の国籍による)区別はOK」というメッセージも紹介しておく。中国全土、東西南北つつがなく、いかなる価格帯の物件でも、敷金トラブルは発生しているということだ。

また、オフィス物件も例外ではない。こちらのほうが被害金額は大きい。

「すったもんだの末、敷金分の領収書を発行してもらうだけだった」(上海)

けっきょくのこの方は、敷金を返却してもらっていない。領収書を発行させるということは、せいぜい大家が20〜30%程度の所得税を収めるぐらいの反撃に過ぎず、事実上の泣き寝入りだ。中国人の顧問弁護士を雇い、少なくとも居住用よりは手堅い契約書を交わしているはずなのに、である。
「ダメ元でも交渉」がセオリー

日本在住25年以上の中国人から、憤慨のメッセージも届いた。

「中国人との付き合いには、仲間として認めてもらえない場合、大損する可能性が大きい。中国人は世界中で一番カネに貪欲な民族だ。今からでもA氏は法的手続きをとるべきだ」(大連)

たしかに、おっしゃるとおりだが、ここでもまた日本人らしさが顔を出す。

「時間がかかって、面倒くさそう」「(敷金と相殺する前提で家賃踏み倒しまで考えるまで)身を落としたくない」「(大家とのバトルを想像するだけで)身も心も疲れる」と、最終的に引き下がってしまう。カネに貪欲になり切れない「甘さ」が顔をのぞかせるわけだ。

嫌な思い出しか残らない、敷金「取られ損」の泣き寝入り。中国人のホームグラウンド=中国本土では、致し方ないと思う。ところが、アウェイの日本に乗り込んできた中国人はなかなか狡猾で、自分たちの基本戦術を崩さない。裏でしっかりソロバンを弾いていたのは、前回の拙稿で登場した、「敷金を返さない」中国人オーナーの陳某である。

元警視庁北京語通訳捜査官の坂東忠信氏は「ダメ元で様々な交渉をしかけてくるのは、中国人ならではの典型的な戦術」と分析する。

「あくまで推測ですが、陳某は配偶者ビザを保有していた可能性が高い。ところが2年前に離婚の可能性が生じ、再婚相手を(件の中国人オーナーと関係する)Sプランニングなる仲介会社で探しながら、投資物件から家賃収入を得る方法を探っていたのかもしれません」

民泊バブルに欲を出して

陳某が再入国用住所をA氏の元に置くのは犯罪(刑法『公正証書原本不実記載等』違反)である。在留期間の更新申請の時に、使うつもりだった可能性が高い。

ちなみに、厚生労働省の統計によると、日中間の国際結婚の離婚率は40%に達している。このうち、永住資格を取得してから離婚するケースも多く、「夫である日本人男性に離婚を迫る、中国人の結婚・離婚斡旋業組織もあると聞いている」(坂東氏)という。

「陳某は、2018年から施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)で欲を出したのではないか」と予想するのが、元公安調査庁で首席調査官等を務め、現在は行政書士として外国人の在留資格やビザに詳しい吉岡誠一氏だ。

民泊新法では、規制の強化と180日の営業日数上限が定められた。それ以前の旅館業法では、許可を受けて民泊を行うことが難しかったため、無許可で民泊を行う人がほとんどだった。しかし無許可での民泊では、騒音やゴミの散乱などのトラブルが多く発生した。

「民泊にトラブルは付き物。管理者責任を問われビザが出ないというのが、中国人の共通認識で、ほぼ全員が一斉に手を引きました。その際、安く買い叩いて商機を見出したのが、日本在住歴が長いビザ持ち組です」(吉岡氏)

2015年頃まで、北海道や沖縄、京都では東京の業者が暗躍し、中国人の多くが市場価格の2倍以上の高値を掴まされていた。その経験から、日本在住歴が長い中国人のあいだでは「本当の相場を知る地元業者を使え」が合言葉になったという。

したがって投資利回りが良い物件として狙うのは、日本の副業サラリーマンとほぼ変わらない。だが大きく異なるのは納税の有無だ。
ガンガン建てて、ガンガン売る

「中国人オーナーの問題は、本拠地が中国本土にある点です。日本の会社に管理を任せ、固定資産税や住民税、法人税などから逃れています。

しかしSプランニングの代表者が中国人なので、金銭のやり取りは安易です。家賃程度の額なら、WeChatの取り扱い限度額内ですし、中国の銀行の口座を持つ者どうしで、日本円を人民元に換算した額をやり取りできます。日本側に取引の痕跡は残りません。この脱税スキームは、現状の法体制では規制が困難です」(吉岡氏)

かつて著者が16年住んだ深センも、多くの香港人が投資目的で不動産物件を購入していた。香港人オーナーが、中国の会社に管理を任せるには日本と同じ構図だ。

しかし中国の不動産の場合、商習慣が異なる。不動産の売却に関係するすべての税金と登記費用は、売手である外国人が負担するのではなく、買手が実質的に負担する。もちろん賃貸物件においても、同じ商習慣が適用される。

中国の税務当局からからしてみれば、オーナーが何人であろうが税収が得られればそれで良い。1990年代から不動産価格が10〜20倍に膨れ上がった深センを始めとする沿岸部大都市においては、新しい物件をどんどん建て、ガンガン売っていたほうが、経済をまわすうえで賢い選択だったといえる。

その一方で、 今の日本は新型コロナ渦で不動産価格が低下したおかげで、割安感がさらに増している。

「香港での国家安全法施行で、中国本土から逃がしたはずの資産も危うくなってきました。旅館であれば営業する許認可付きで、企業の代表者が取得できる投資ビザが一石二鳥で手に入ります。資産保全にはもってこいなんです。

しかも、日本におけるビザを取得すれば、別の国への移民申請時に有利に働く。北海道や沖縄のリゾート物件が高騰したのも、ビザ取得に加えた移民のハブ的役割が人気になったからです」(吉岡氏)

日本の手厚すぎる行政サービス

たしかに著者の身近でも同じ現象が起きている。2000年代初めに深セン市内にマンションを2〜3戸購入していれば、今や資産は2億円を超える。

そういう友人たちへ改めて連絡をとって近況を聞いてみると、本人や子供、親戚が、香港やアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本などに、すべて移住済みだった。

彼らの異常ともいえるほど根強い政府へ警戒心は、海外の不動産取得の動機に直結している。

中国本土では基本的に土地は政府のものであり、人民元や共産党政府そのものにも全面的な信頼を置いてはいない。都市部に住んでいる富裕層でも、「農村戸籍」であれば「子どもを近所の学校に行かせることができない」「入社を希望する企業にエントリーできない」「年金、医療保険、失業保険、最低生活保障などの社会保障が手薄い」といった差別に直面する。

その一方で、日本の行政サービスは手厚い。外国人であっても不動産は自由に売買ができ、土地は永久的に自分のものになる。値下がりするリスクも小さい。沿岸部大都市の中国人が手持ちのマンションをひとつ売れば、都内にマンションやアパートを3戸買えるほど割安だ。

2015年頃、知人の弁護士から2000万円程度のワンルームマンション探しを依頼されたことがある。当時、国境をまたぐ人民元取引の制限を中国政府が強化していたので断念したが、「日本の物件利回り(5〜6%)はとても低い。でも福利厚生の恩恵は大きな魅力」と息巻いていた。
「民泊」の次を狙ってくる

そこで著者が、福利厚生が充実しているのは、真面目に納税している日本人が多いからだと指摘したところ、「日本は中国より社会主義ですね。中国では税金は納めるものではなく取られるものなんですよ」と逆に諭されたことがある。

弁護士のような知的な人種であっても、いや知的であるからこそ「税金は取られるもの」という意識が強い。したがって脱税スキームが放置されたまま、手厚い行政サービスが約束してくる日本はオイシイ社会なのだ。

このようにソロバン勘定に長けた中国人のあいだで、民泊に続く、別の形での投資ブームがやってくるのは時間の問題であろう。

引っ越し直前の家賃1か月分と光熱費を払わず、敷金と相殺する――。前回の記事でも触れたような「中国ルール」が、日本社会の常識になって欲しくないと願う善良な中国人は、日本にどれだけいるだろうか。

ぜひ同胞同士で、自浄努力に勤しんでいただきたい。こう期待するのもまた日本人的な「甘い」考え方なのだろうか。

加藤 康夫(週刊現代記者)

ニュージーランドでは外国人による住宅買収は禁止になった。

中国資本が有する北海道の土地面積は静岡県の面積を超えた。
外国資本による土地取得制限法案は国会に提出されたことがあるが親中派議員に握りつぶされた。
このままでは戦うことなくして日本が中国の一部になってしまう。
他国のように外国資本による自国の資産(株、土地、住宅、水資源等)取得制限をすべきだと思う。

「外国籍の人」には、土地や物件を取得出来ない法律を作るべき。放置しておくと全てを奪われる可能性もあるし、脱税や違法の手段として悪用される可能性がとても高い。

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