こういう情報が欲しい>ある日突然「濃厚接触者 」に 実際どうなる?立ち話相手が感染者 保健 所から連絡、陰性も「コロナ身近に」/兵庫・丹 波市

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21日午前9時前、スマートフォンに心あたりのない電話番号から着信があった。「こちらA税務署です。17日に来署し、相談予約を取られましたね?その際、応対した職員が新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました」―。京都府内の自宅から兵庫県丹波市内の事業所に通勤する50代男性はこの朝突然、「濃厚接触者」になった。
電話そばに同僚「離れていくのが分かった」

 京都府内の税務署からの用件は、「接触した人を(府内の)保健所に報告しなければならない。連絡先を保健所に教えても良いか」の確認だった。

 「いいですよ」と答え、電話を切ってすぐに保健所から電話がかかってきた。職員とどんな形で会話をしたか、状況を事細かに聞かれた。

 お互いマスクを着用していた、手を伸ばせば届くほどの距離だった、手渡しで書類をやり取りした、10分ほど立ち話をした、2人の間に透明の防御シールド(のれん状)があったが、シールド越しではなく、直接対面して会話した時間があった―ことを伝えた。

 保健所に感染の有無を確認する必要がある旨を告げられ、この瞬間、「濃厚接触者」になった。京都府内の病院(帰国者・接触者外来)が指定され、そこで検査を受けるように言われた。

 会話を近くで聞いていた同僚たちが、すすっと離れていくのが分かった。
病院へ直行、会話のない3分の検査

 会社から、結果が出るまで出勤しないよう指示があり、業務には従事せず、病院へ直行。午前10時半ごろに到着し、病院に電話をした。保健所の指示どおり、「車から降りず、指示があるまで窓を開けないように」車内で待機していると、シールドと医療用ガウン姿の医療従事者3人が近付いてきた。

 1人が、運転席側の窓にビニールシートのようなものを貼った。シートには、小さな丸い穴が開いていた。ジェスチャーで窓を開けるよう指示があった。次に、ジェスチャーで、直径12センチほどのシートの穴から鼻を突き出すよう指示された。鼻を突き出すと、長い綿棒のようなもので鼻の奥をぬぐわれた。ぬぐい終わると、またジェスチャーで窓を閉めるよう指示された。

 終わったかと思うと、「質問は保健所へ」「このままお帰り下さい」と書いたボードを示された。この間約3分。医療従事者と、一言の言葉も交わさなかった。感染防止に医療従事者が神経を尖らせているのがよく分かったが、「何だか紙芝居みたいで、おかしかった」。

 妻には、検査へ行く前に連絡した。妻はすぐに自身の職場に夫が感染を疑われ、検査対象になったことを伝えた。「(自宅の)玄関にアルコールを用意しておくよ」と言ってくれた。出かける予定だった母親には、外出を止めてもらった。

 自宅で待機していた午後3時ごろに保健所から電話があり「陰性」と告げられた。「結果が分かるまで2、3日かかるのかなと思っていたので、すぐに結果が出て良かった。ほっとした。妻も母も安心したと思う」

 保健所から2週間経過観察する必要があると言われた。パソコンやスマホが使えると言うと、厚生労働省の専用インターネットサイト「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」のアドレスと、個人識別番号が送られてきた。その日から毎日1回、体温測定と、「咳・鼻水」「息苦しさ」「全身倦怠感」の3項目のアンケートに回答している。

 「突然、濃厚接触者になって、コロナを身近に感じた。もしかしたら、自分が感染者になっていたかもしれない。私は基礎疾患があるので、発症していたらと思うと、陰性で助かった。また自分が気付かないまま2次感染を引き起こすこともなく、こちらも良かった」と、「まさかの体験」を振り返っていた。

不測の事態への備え

 税務署の申告相談の予約表に連絡先を残したことで、追跡ができた。男性が立ち話だけで、予約をせずに帰宅していたら、追跡は困難だった。男性が連絡先を書いていなかった場合、男性が濃厚接触者だと突き止める方法は2つ。一つは、男性が、ニュースなどで自身が接触した税務署の職員が感染者だと気付き、自ら保健所などに名乗り出るケース。もう一つは、男性が発症した場合だ。その間に男性は、家族、同僚、立ち寄った先で感染を広げていたかもしれない。

 目に見えず、いつどこでもらって、誰にうつすか分かりづらいのが感染症。自分や身近な人を感染から守り、仮に感染しても拡散範囲を小さくとどめるために、功労省が無償配布している同ウイルス接触確認アプリ「COCOA」を入手したり、いつどこで誰と出会ったかを、記録するなど、不測の事態への備えを。

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