これが中国か>三峡ダムよりひどい…「中国の巨 大ダム群」がメコン川流域に大干ばつをもたらす

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中国湖北省にある三峡ダムの水位上昇が国際的に注目を浴びる一方、東南アジアのメコン川流域では中国の巨大ダム建設による干ばつが深刻な問題になっている。実状を隠蔽しようとする中国側と、それを批判する欧米諸国の攻防を香港紙が取材した。

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中国側はダムの関与を否定しているが…

中国に源流があるメコン川は、そこからミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、カンボジアに流れ込み、その流域に暮らす約6000万人の生活を支えてきた。

ところが近年、メコン川周辺地域での干ばつが深刻化しており、地元メディアは中国が上流に複数のダムを建設したことが原因だと報じている。
米政府の資金提供のもと、水資源のコンサル企業「アイズ・オン・アース」がおこなった調査の報告書によれば、中国はメコン川流域のダムに470億キロリットルの水を放出せずにためているという。

だが、中国の精華大学などによる調査は、まったく異なる結論に至った。メコン川流域の干ばつは高い気温や雨量の減少といった気候変動が原因だというのだ。また同研究は雨季に水をため、乾季にそれを放出するダムのような人口貯水池は、上流に限らずメコン川全体の干ばつを緩和していると主張。さらに、メコン川流域諸国のなかで最も干ばつの危険にさらされているのは中国だとも述べている。

中国紙「環球時報」は、「精華大学の研究結果は、メコン川流域諸国の干ばつを中国のせいにした一部の外国人研究者の乱暴な主張とは対照的だ」と報じた。
水位が歴史的な低さに

だが、各国の専門家や環境保護団体は中国側の研究結果を疑問視している。

WWF(世界自然保護基金)のマーク・ゴワショは、不規則な雨量が干ばつの原因だとする中国側の指摘には同意するものの、人間による開発の影響も大きいと考える。

また、米ワシントンに拠点を置くシンクタンク「スティムソン・センター」のブライアン・アイラーは、干ばつは雨季にも発生しているが、中国側の研究はこの点については言及していないと指摘する。同センターの調査によれば、上流にある中国のシャオワンダムとヌオツァートゥーダムが、2019年7〜11月の間に合わせて200億キロリットルの水をためこんでいたという。

こうした調査結果から、再び干ばつが起きる恐れがあるとアイラーは言う。

「衛星写真で、中国のダムが2020年7月からまた同量の水をためこんでいることを確認しています。メコン川の支流の水位は歴史的な低さを記録するでしょう」

独ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学の研究者セバスチャン・ビバも、メコン川の干ばつには気候変動などの環境的要因が影響してはいるものの、問題を悪化させているのは中国のダムだと話す。

「どちらの原因がより致命的かはわかりませんが、少なくとも中国側はダムも一因になっているという疑念を払拭できていません」

ベトナムでは干ばつのために非常事態宣言が発令され、タイでは救援活動に軍が出動するほどの極度な水不足に陥っている。米中それぞれの調査研究の結果は、東南アジア諸国における利権をめぐる米中の闘いの始まりだとする声もある。

メコン川は学術界を越えて、米中対立の新たな主戦場になっているのだ。(続く)

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