「諫言(かんげん)」について →敵方の臣下を「諫言」専門の側近に取り立てた李世民

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国家レベルでも身近な会社などの組織でも裸の王様がいます

古今東西、時代を問わず、裸の王様が出てしまうのはやむを得ないことなんでしょうね。

ただ、問題は、その対策を王様、つまり、トップの人自身が自覚して行うことができるか、が大切なんだと思います。

私自身の体験した例として、はじめて訪問して会社案内してくれた社長に、施設が汚いと率直な感想を言ったら、それを聞いて私に困惑していた私の紹介者に、「正直者を連れてきてくれた」と笑い飛ばして、その後、仕事をさせてもらうことになった、ということがあります。

逆に、何でも言って欲しい、というので、言葉を選びながら、社員が常日頃、思っている不満を伝えたところ、あんたに、そんなことを言われる筋合いはない、といきなり逆切れされたこともあります。

ただ、これが、国家レベルとなると、とんでもないことですが、かの中国では、王様のお手本になる皇帝がいたんですね。

理想的な政治を行い、名君としての名が語り継がれている唐の第二代皇帝・李世民

出典は敵方の臣下を「諫言」専門の側近に取り立てた李世民です。

魏徴は、かつて仕えた李建成に、「あなたの弟の世民は能力も野望も桁外れだから、早く殺しなさい。さもないとあなたが殺されます」と言い続けていました。

しかし、優柔不断な李建成はその進言を受け入れることができず、結局は殺されてしまう。

犯罪人として捕らえられた魏徴は李世民に、「あなたの兄上がもっと賢かったら、私は罪人にならずに済んだものを」と言ったそうです。

これを聞いた李世民は、直ちに彼を側近として使うことを決めます。

自分の殺害を計画した者の臣下であっても、実力があれば積極的に側に置いたのです。

上に立つ者の過失を遠慮なく指摘して忠告することを「諫言(かんげん)」と言います。

魏徴は、この諫言を仕事とする諫議大夫(かんぎたいふ)という役職に就きました。

そして、李世民が誤った政策を進めようとしたり、リーダーとしてやるべきことをやっていなかったりしたときには、進んで忠告を行いました。

こうした事情もあって、『貞観政要』でもっとも多く登場する臣下です。

■『NHK100分de名著  呉兢 貞観政要』より

翻ると家庭内でも同じことがいえますね

一番身近なところ、つまり、家庭内でも、同じことがいえますね。

家族のアドバイス、特に子供との会話で、ついつい、上から目線で素直に耳を傾けられなくなったら、一大事です。

まずは、自分から身近なところから心がけねば、と思います。

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